※本記事は公的ガイドライン等に基づく一般的な解説です。実際の運用は、各自治体・嘱託医・園の方針に従ってください。
保育園では、子どもの嘔吐が保育室だけでなく、廊下、トイレ、園庭、午睡中の布団の上など、さまざまな場所で起こります。嘔吐処理セットが事務室に1つだけという状態では、取りに行く間に子どもが近づいたり、処理が遅れたりしがちです。
嘔吐処理セットは「そろっているか」だけでなく、「すぐ手に取れる場所にあるか」「使った後に元の状態へ戻るか」まで決めておくことで、秋冬の流行期にも落ち着いて使えるようになります。
嘔吐処理セットはどこに置くのがよいか?
置き場所は、嘔吐が起こりやすい場所と、職員がその場を離れにくい場面から逆算して決めます。こども家庭庁の「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」でも、嘔吐物の処理に必要な物品をあらかじめ準備しておくことが示されています。
- 乳児クラスの保育室:嘔吐が多く、職員が子どもから離れにくいため優先度が高い
- 各フロアの共用部:廊下やトイレでの嘔吐に備え、階ごとに1か所
- 園庭・玄関付近:外遊びや登降園時の対応用
- 午睡室の近く:寝ている子どもを移しながら処理できるように
嘔吐があったときは、その場にいる職員が子どもを見守り、声をかけられた別の職員がセットを持ってくる、という分担を園内で決めておきます。置き場所は、この応援の職員がすぐに運べることを基準にします。
置き場所は子どもの手が届かない高さにし、扉付きの棚や専用ボックスに入れます。どこに置いたかを職員室の見取り図に書き込み、非常勤職員にも伝わるようにしておくと安心です。
セットの中身は何を入れるか?
| 用途 | 主な物品 |
|---|---|
| 身を守る | 使い捨て手袋、マスク、使い捨てエプロン |
| 拭き取る | ペーパータオルや使い捨ての布、新聞紙 |
| 消毒する | 次亜塩素酸ナトリウムの希釈に使う容器と計量道具、手順書 |
| 捨てる | ビニール袋(複数枚)、袋を縛るもの |
| 知らせる | 立入を止める表示、処理記録の用紙 |
消毒液の濃度や作り置きの扱いは、ガイドラインや園のマニュアルに記載された方法に合わせます。セットの中に手順書を入れておくと、慣れていない職員でも同じ手順で対応しやすくなります。処理の流れ全体は、保育園の嘔吐処理マニュアルで詳しく整理しています。
使った後の補充はどう回すか?
嘔吐処理セットで起こりやすいのは、一度使われた後に手袋や袋が足りないまま戻されることです。補充は「使った人がその日のうちに補充する」ことを基本にします。そのうえで、担当者が毎週決まった曜日に中身を点検し、補充漏れや使用期限切れがないかを確認すると、次の嘔吐対応で物品が足りない状態を防ぎやすくなります。
- セットの蓋の裏に中身のリストを貼る
- 補充用の在庫は1か所にまとめ、残量が少なくなったら発注する担当を決める
- 使い捨て手袋やマスクは、サイズや使用期限も確認する
記録は何を残せばよいか?
ここでいう記録は、セットの補充と置き場所の見直しに使うためのものです。日時、嘔吐があった場所、使ったセット(どこに置いてあったものか)、対応した職員、補充したかどうか、取りに行くときに困ったこと(遠かった、物品が足りなかったなど)を残しておきます。流行期が終わった後に見返すと、嘔吐が多かった場所や、セットの配置に無理があった場所がわかり、翌年の置き場所の見直しに使えます。子どもの様子や処理の内容といった対応そのものの記録は、園で定めた様式に別途残してください。
日常の衛生管理とつなげて考える
嘔吐処理の備えは、日常の衛生管理と切り離せません。嘔吐のあった保育室では、おもちゃや食器、哺乳瓶の扱いも見直すことになります。年間の感染症対策チェックリストは資料ダウンロードページから入手できます。備品の殺菌・乾燥設備のご相談は、お問い合わせフォームから受け付けています。
よくある質問(FAQ)
嘔吐処理セットは何セット用意すればよいですか?
決まった数はありません。その場の職員が子どもを見守り、別の職員がセットを持ってくる分担を前提に、乳児クラス、各フロア、園庭付近など、応援の職員がすぐに運べる場所ごとに用意する考え方が目安になります。
消毒液はセットに作り置きしてよいですか?
作り置きの扱いはガイドラインや園のマニュアルに従ってください。希釈の手順書と計量道具をセットに入れておくと、使うときに迷いにくくなります。
点検はどのくらいの頻度で行いますか?
使った後にその日のうちに補充することを基本に、週に1回など決まった曜日に担当者が中身と使用期限を点検する運用が続けやすい方法です。
まとめ
嘔吐処理セットは、嘔吐が起こりやすい場所から置き場所を決め、中身のリスト、使用後の補充と定期点検、補充と配置見直しのための記録をセットで運用することが大切です。秋冬の流行期に入る前に、置き場所と中身を職員全員で確認しておきましょう。
